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長期優良住宅とZEHの違いは?比較ポイントや基準を紹介

マイホームの性能や将来性を重視する方にとって、「長期優良住宅」と「ZEH(ゼッチ)」は魅力的な選択肢です。
どちらも高い住宅性能を目指す制度ですが、その目的や評価基準には違いがあります。

この記事では、長期優良住宅とZEHの違いや共通点をわかりやすく比較し、それぞれの基準やメリットを紹介します。
住宅選びで後悔しないために、ぜひ参考にしてください。

 

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、国が定めた厳しい基準を満たした住宅に対して認定が与えられる制度です。
2009年に創設され、「いいものをつくって、長く使う」ことを目的に、住宅の品質向上と資産としての価値を維持することを推進しています。
主な認定基準には、耐震性、省エネルギー性、劣化対策、維持管理のしやすさ、居住環境、住戸面積などがあり、住宅性能の高さ、特に耐久性とメンテナンス性に優れた住宅が評価されています。
長期優良住宅の認定を受けると、住宅ローン控除の上限額の引き上げ、不動産取得税や登録免許税の軽減、固定資産税の減額など、さまざまな税制優遇を受けることが可能です。
また、中古住宅市場での資産価値の向上なども期待できるでしょう。
長期優良住宅の対象は新築だけでなく、一定の条件を満たせば既存住宅のリフォームでも認定されるため、長く快適に暮らすことを重視したい方におすすめの制度です。
出典:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅とは

 

ZEH(ゼッチ)とは

ZEH(ゼッチ)とは、「Net Zero Energy House(ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称で、年間の一次エネルギー消費量の収支を実質ゼロにすることを目指した住宅のことです。
高断熱・高効率な設備でエネルギー消費を抑えつつ、太陽光発電などでエネルギーを創出することで、環境負荷と光熱費の大幅な削減を実現します。

ZEHのメリットは、環境への配慮はもちろん、光熱費の削減や災害時の自立性の高さにあります。
政府の支援策により、建築コストの一部を補助金でカバーできる点も魅力です。
国の「エネルギー基本計画」(2014年)でZEHの普及が政策目標として掲げられ、2016年からは補助金制度やZEHビルダー制度も整備され、本格的な普及が進んできました。
2025年4月からはすべての新築住宅に省エネ基準適合が義務化されるため、ZEHの性能基準を満たす住宅は今後の主流となっていくでしょう。
出典:国土交通省「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

 

長期優良住宅とZEHの違い

長期優良住宅とZEHは、どちらも国が普及を推進している高性能住宅ですが、それぞれが重視する目的や性能、認定の方法には明確な違いがあります。
以下の比較表を参考に、両者の違いを整理しましょう。

比較項目長期優良住宅ZEH
目的長く安全・快適に住める住宅の普及年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロにする住宅の普及
重視する性能耐震性・耐久性・省エネ性・維持管理性など総合的な住宅性能高断熱・省エネ・創エネ(太陽光発電等)によるエネルギー収支のゼロ化
認定機関自治体(所管行政庁)

・登録ZEHビルダーによる設計・申請

・一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)が審査

断熱性能断熱等性能等級5以上断熱等性能等級5以上
省エネ性能一次エネルギー消費量等級6以上一次エネルギー消費量を20%以上削減
創エネ設備任意

原則必須

(太陽光発電など)

耐震性能耐震等級2以上明確な基準なし
劣化対策劣化対策等級3明確な基準なし
維持管理性設備・配管などは交換・点検がしやすい構造が必要規定なし

 

目的

長期優良住宅は、「長く安全・快適に住める住宅」の普及を目的とした制度で、耐久性・可変性・メンテナンス性など、長寿命化を意識した性能を重視しています。
住まいを資産として長く使いたい人に向いているでしょう。
一方、ZEHは「エネルギーの自給自足」が主眼です。
省エネ性能を高めると同時に太陽光発電などでエネルギーを創出し、年間の一次エネルギー収支を実質ゼロにすることを目的としています。

 

重視する性能

長期優良住宅では、建物の構造そのものの品質や維持管理のしやすさに重きを置かれています。
例えば耐震等級2以上、劣化対策等級3、バリアフリー性、住戸面積の確保など、住宅全体の総合性能が求められます。
ZEHは、あくまで省エネと創エネが主軸です。
断熱性能を高め、LEDや高効率エアコン・給湯器などの省エネ設備を導入し、さらに太陽光発電や蓄電池でエネルギーを創り出すことで、省エネと創エネのバランスをとることが求められています。
ただし、耐震性や劣化対策といった構造面の基準は設定されていません。

 

認定機関

長期優良住宅は、申請から認定まで行政(自治体)が主体となり、住宅性能表示制度に基づいた第三者機関の評価を経て、厳格に審査されます。
認定後も、計画通りに点検・補修を行う維持保全計画の提出が必要です。
一方、ZEHの認定には行政庁の関与はなく、設計や申請はZEHビルダー登録を受けた事業者が担当します。
補助金を受ける場合は、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が申請内容を審査します。
また、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の評価取得が条件になることもあり、省エネ性能の数値的な裏付けが重要です。

 

断熱性能

長期優良住宅とZEHは、どちらも断熱性の高さが求められており、いずれも「断熱等性能等級5以上」が基準となっています。
断熱等性能等級は1〜7まであり、数字が大きくなるほど断熱性能が高く、冷暖房効率の良い省エネ住宅と評価されます。
等級5は、現在の省エネ基準に適合した性能を指し、断熱材の厚みや窓の断熱性能などを総合的に見て評価されます。
冷暖房費を抑えながら快適な室温を保てるため、断熱性能は住宅の住み心地とランニングコストに大きく関わります。

 

省エネ性能

省エネ性能とは、住宅がどれだけ効率的にエネルギーを使用し、消費を抑えられるかを示す指標です。
これには照明、空調、給湯設備などの効率が影響します。
長期優良住宅では、「一次エネルギー消費量等級6」が必須とされており、これはBEI(Building Energy Index)値で0.8以下、すなわち基準値から20%以上のエネルギー削減を意味します。
一方、ZEHも太陽光発電などの創エネを除いた状態で、「基準一次エネルギー消費量から20%以上削減」が必須要件となります。
つまり、長期優良住宅とZEHは、実質的にほぼ同じ省エネ基準です。
ただし、ZEHは省エネに加えて創エネによるエネルギー収支のゼロを目指しています。

 

創エネ設備

創エネ設備は、長期優良住宅とZEHのもっとも大きな違いです。
長期優良住宅は断熱性や省エネ性などの基準をクリアすればよく、創エネ設備の設置は任意です。太陽光発電や蓄電池がなくても認定を受けることができます。
一方、ZEHでは創エネ設備の導入が必須となっており、家庭内で使用するエネルギー以上の発電量を確保することが求められます。
主に太陽光発電が用いられ、必要に応じて蓄電池やHEMS(エネルギー管理システム)なども活用されるでしょう。
そのため、ZEHは初期費用がやや高くなる傾向にあるものの、光熱費の大幅な削減や補助金制度の活用により、経済的な負担を軽減できます。

 

耐震性能

長期優良住宅では、災害時にも安心できる構造が求められており、「耐震等級2以上」が認定基準に含まれています。
これは建築基準法で定める耐震等級1(一般的な新築住宅)の1.25倍の地震力に耐えられる設計となっており、災害リスクの高い地域では特に重要視されるでしょう。
一方、ZEHはあくまでも省エネ・創エネに特化した基準のため、耐震性能に関する明確な条件や等級はありません。
耐震性を確保したい場合は、別途設計・仕様を確認する必要があります。

 

劣化対策

長期優良住宅では、「劣化対策等級3」の取得が必須です。
これは住宅性能表示制度における最高等級にあたり、「3世代(約75~90年)にわたって大規模な改修を必要としない」レベルの耐久性を確保するための基準とされています。
具体的には、木材の腐朽やシロアリ対策、防湿施工、適切な通気などにより構造部の劣化を防ぐ措置がとられている住宅です。
一方、ZEHでは劣化対策に関する独自の基準や等級の要件は設けられていません。建築基準法に適合していれば認定が可能なため、耐久性を重視するかどうかは設計者や施主の判断に委ねられる部分が大きいでしょう。

 

維持管理性

長期優良住宅では、「維持管理対策等級3」が実質的な基準とされ、設備や配管の点検・交換がしやすい構造であることが求められます。
例えば、給排水管やガス管など、将来的に劣化・交換の必要が出てくる設備に配慮し、床下点検口の設置やコンクリート埋設の回避など、リフォームしやすい設計が義務付けられています。
一方、ZEHには維持管理性に関する独自基準は存在せず、省エネ性能や創エネ設備の導入に焦点が当てられています。
将来的なメンテナンス性を重視する場合は、設計段階で長期優良住宅の仕様を参考にすることも有効です。

 

長期優良住宅とZEHの補助金・優遇制度の違い

長期優良住宅とZEHには、受けられる補助金や優遇制度にも違いがあります。

比較項目長期優良住宅ZEH
補助金

・子育てグリーン住宅支援事業

・市街地再開発事業 など

・子育てグリーン住宅支援事業

・ZEH補助金

住宅ローン控除控除期間13年長期優良住宅の要件を満たしていれば、同様の優遇が受けられる
登録免許税土地や建物の登録免許税が軽減なし
不動産取得税課税標準の控除額が拡大なし
固定資産税

新築後3年間 → 1/2に減額

(長期優良住宅は最大5年間)

なし
補助金併用の可否自治体の支援制度やZEH補助金と併用可長期優良住宅との併用可

 

補助金

長期優良住宅とZEHには、それぞれ適用される補助制度がありますが、対象や金額、交付主体が異なります。
どちらも共通するのは、国の「子育てグリーン住宅支援事業」で、長期優良住宅は80万円/戸、ZEH水準住宅は40万円/戸の補助が受けられます(2025年時点)。
また、ZEHには「ZEH支援事業」や「ZEH+実証事業」など、国土交通省や環境省が予算を組んで行う補助金制度が複数あります。
ただし、これらの制度は年度ごとに変わるため、住宅取得を検討する際は最新情報を必ず確認しましょう。

 

住宅ローン控除

長期優良住宅もZEHも、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の対象となります。
控除期間は最長13年、控除率は年0.7%で共通です。
ただし、借入限度額には差があり、住宅の種別によって減税効果に違いが生じます。

【借入限度額の比較(令和6年・7年入居)】

住宅の種類一般世帯子育て世帯・若者夫婦世帯
長期優良住宅・低酸素住宅4500万円5000万円
ZEH水準省エネ住宅3500万円4500万円

出典:国土交通省「住宅ローン減税等に係る所要の措置(所得税・個人住民税)」

長期優良住宅のほうが高額な借入に対しても控除を受けやすく、減税メリットが大きいです。

 

登録免許税

長期優良住宅では、登録免許税の軽減措置が適用されます。
新築時の所有権保存登記は税率0.15% → 0.1%に、所有権移転登記は0.3% → 0.2%に軽減され、費用負担が抑えられます。
適用には、長期優良住宅としての認定通知書などが必要で、優遇措置は令和9年3月31日までに新築された住宅が対象となります。
(出典:国土交通省「認定長期優良住宅に対する税の特例 (所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税)

一方、ZEHには登録免許税に関する独自の軽減措置はなく、一般住宅と同じ税率が適用されます。

 

不動産取得税

不動産取得税については、長期優良住宅に対してのみ特別な軽減措置が設けられています。
新築住宅の場合、通常、固定資産税評価額から1,200万円を控除して課税されますが、長期優良住宅の場合は控除額が1,300万円に引き上げられます。
これにより課税対象額が少なくなり、その分だけ納税額が軽減されます。
この特例措置の対象は、令和8年3月31日までに新築された認定長期優良住宅であり、適用には認定証などの提出が必要です。
(出典:国土交通省「認定長期優良住宅に対する税の特例 (所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税)

一方、ZEH単体ではこのような控除額の上乗せはありません。
ZEHであっても長期優良住宅の認定を受けていなければ、一般住宅と同じく1,200万円控除の扱いになります。

 

固定資産税

新築住宅の固定資産税についても、長期優良住宅のほうが、優遇期間が長く設定されています。
一般的な新築住宅の場合、家屋部分の固定資産税は3年間(3階建て以上は5年間)半額に軽減されますが、令和8年3月31日までに新築された住宅を対象とし、長期優良住宅として認定されている場合は、5年間(3階建て以上は7年間)半額に延長されます。
(出典:国土交通省「認定長期優良住宅に対する税の特例 (所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税)

長期にわたって節税効果が得られるため、将来的な負担を抑えたい方には大きなメリットです。
一方、ZEH単体ではこの延長措置はなく、一般住宅と同じ軽減期間が適用されます。

 

補助併用の可否

長期優良住宅とZEHをどちらも満たす高性能住宅を建てた場合でも、国の補助金制度を重複して受け取ることはできません。
例えば、「ZEH補助金」と「子育てグリーン住宅支援事業」はどちらも国費を財源としているため、同一住宅に対して両方の補助を同時に受け取ることは不可とされています。
ただし、国の制度とは別に、地方自治体が独自に実施している補助金(例:市町村の省エネ住宅支援金など)については、国の補助制度と併用可能なケースもあります。
ZEH補助金と自治体の太陽光設備補助金を組み合わせて受け取れる例もあり、地域によっては支援額が大幅に増える可能性があるでしょう。
補助金制度は年度ごとに条件が変わるため、事前に国と自治体の制度を照らし合わせて確認しておくことが重要です。

 

愛知県・岐阜県の長期優良住宅・ZEHは工務店「善匠」にご相談ください

長期優良住宅とZEHは、どちらも住宅性能の高い住まいですが、目的や性能基準、受けられる優遇制度に違いがあります。
耐震性や耐久性を重視したい方には長期優良住宅、省エネや創エネにより光熱費削減を重視したい方にはZEHがおすすめです。
また、それぞれの特徴を理解したうえで、両方の基準を満たすハイブリッド型の住宅を目指すことも可能です。
補助金制度や税制優遇をうまく活用することで、初期費用を抑えながら高性能な住まいを実現できるでしょう。
愛知県・岐阜県で多くの注文住宅を手がける工務店「善匠」は、ZEHビルダーとしての認定を受けており、ZEH住宅や長期優良住宅の設計・施工に豊富な実績があります。
住宅性能と暮らしやすさを両立した住まいを検討中の方は、ぜひ善匠のモデルハウスで、そのこだわりと品質を体感してみてください。
家づくりに関するご相談も随時受け付けております。

 

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