マイホーム造りは胸の躍るものです。素敵な外観、住み心地の良いリビング、使いやすい設備など、いろいろな夢があふれることでしょう。
しかし、それは十分に予算があってのこと。仮に予算が不足するならば、住宅購入後の生活に響くこともあり、望ましくはありません。
ところで、注文住宅を購入した人の中には「予算オーバーしてしまった」と後悔する人がいることをご存じでしょうか。
この記事では注文住宅の予算オーバーの原因と対策を取り上げます。注文住宅を検討している人には参考になることでしょう。
注文住宅の予算オーバーの原因
注文住宅の予算オーバーの原因はケースバイケースですが、多くの場合は次の5点に絞ることが可能です。
- 予算の見誤り
- 土地改良の費用発生
- 建築費用の高騰
- 打ち合わせの不足
- オプション工事を付け過ぎる
それぞれの項目について解説しましょう。
予算の見誤り
あまり詳細には考えず、適当なドンブリ勘定で予算を判断してしまった場合などが、予算オーバーの原因となることがあります。
住宅の価格は坪単価が目安です。坪単価は延床面積に対する価格の指標なので、住宅価格の計算が一応は可能です。
しかし、坪単価が絶対に正しいとは限りません。実際に積算をしてみたら坪単価を上回っている場合もあるのです。
例えば、住宅には付帯工事や諸経費が発生します。付帯工事はガス工事や給排水工事で、諸経費は申請手続きや税金などです。この費用は建物本体価格には入っていません。
当然ながら、この費用は予算オーバーになってしまいます。
土地改良の費用発生
注文住宅を建てるための土地を購入したからといっても、そのままの状態で建てられるとは限りません。
住宅を建てるためには地盤の強度が大切で、土地によっては地盤が弱く、改良が必要なケースがあるからです。
仮に、地盤の状態が悪いままで家を建てたならば。家が沈んだり傾いたりするでしょう。
そして、この費用を支払うのは買主の場合が多く、予算オーバーの原因となります。
ちなみに、地盤改良のためには土地の表面をセメント系の材料で補強したり、土地に杭を打つ場合もあり、工事の規模は大きいです。
建築費用の高騰
建築費の高騰を見逃している場合もあり、予算オーバーの原因ともなります。
現状は建築資材の高騰が目立ち、それに伴って住宅の価格も上がっているのです。
これは「ウッドショック」と呼ばれる現象。建築費用の高騰は落ち着いたとの見方もありますが、昔よりも高い水準で現状も推移しています。
そして、これは住宅の坪単価に大きな影響を及ぼしています。
昔であれば、坪単価が80万円だった住宅が今では100万円になっている場合もあり得るのです。
ちなみに、50坪の家を建てる場合は坪80万円の場合は4,000万円、坪100万円の場合は5,000万円で、価格差は大きいです。
打ち合わせの不足
業者との打ち合わせの不足が予算オーバーに繋がるケースもあります。
例えば、住宅建材にはグレードがあるのですが、打ち合わせ不足によって高い設備を注文してしまうケースです。
キッチンをシンプルな壁付けにする場合と、アイランド型やペニンシュラ型にする場合では費用が違います。打ち合わせ不足で間違って注文をしたならば、予算をオーバーしてしまうでしょう。
また、オプション工事の価格が別途であることを知らずに発注するケースも少なくありません。庭にテラスやウッドデッキなどを設置すれば多額の費用が必要です。
その結果として費用が膨らんでしまい、予算オーバーに繋がるのです。
オプション工事を付け過ぎる
オプション工事を付け過ぎるのも予算オーバーの原因です。
さて、オプション工事は種類が非常に多いです。例を挙げるならば、代表的な設備だけでも次のアイテムがあります。
- 食器洗い乾燥機
- IHクッキングヒーター
- バルコニー屋根
- カーポート
- 宅配ボックス
- 床暖房
- ロフト
- 床下収納
この内、選ばれるアイテムはケースバイケースですが、設置するものが多くなればなるほど費用が膨らんでしまいます。
その結果として予算オーバーに繋がるのです。
なお、オプション工事は住宅の本体価格と比較すると小さなものに見えてしまいます。しかし、これが盲点となることも多く、予算オーバーにもなるのです。
注文住宅購入の費用を削るポイント
次に、注文住宅購入の費用を削るポイントを紹介します。
費用を削るためのポイントは多いのですが、基本的には次のカテゴリーに分けられます。
- 土地関連
- 家屋関係
- 資金面
- その他
それぞれのポイントについて解説しましょう。
費用を削るポイント1:土地関連
土地は注文住宅を建てるのあたっては非常に重要な要素です。
しかし、費用を削るためには、どこかで妥協をしなければいけません。
それでは、どこで検討をすべきなのでしょうか。
面積
土地の価格は地域や接道などのさまざまな条件によって決まりますが、基本的には広くなれば価格は上がります。
そのため、コストダウンをするためには広い土地ではなく、狭い土地を選ぶことが必要となるでしょう。
ただし、単に狭い土地を選べば良い訳ではありません。土地には建ぺい率と容積率が決まっているので、建てられる家の広さまで決まるからです。
例えば、建ぺい率が50%の広さ60坪の土地であれば、30坪の家が上限です。そのため、仮に広さが50坪の土地に変えるならば、25坪の家しか建てられない計算となります。
土地の面積を狭くすることはコストダウンになりますが、建ぺい率と容積率には十分に注意しましょう。
エリア
エリアの変更もコストダウンには有効です。
例えば、人気のある街であれば地価は基本的には高額です。その一方で、人気のあまりない街では土地が安くなります。
また、駅から近い交通アクセスの良い土地であれば地価は高いです。しかし、駅から離れた場所は地価が下がります。
他にも、学校や病院、そしてショッピングセンターなどに近い場所も地価が高い場合が多いです。
このように、人気の高い街や便利な地域は土地の価格が上がります。コストダウンのためには、不便な場所を敢えて取ることも必要です。
ただし、あまりにも良くない場所だと生活に響くケースもあり得ます。例えば、騒音や悪臭などのような環境が悪すぎる土地は考えたほうが良いでしょう。
形状
土地は形状によって価格が異なります。
例えば、正方形や長方形のような形状の整っている土地は価格が高いです。その一方で、三角形や台形の土地、旗地と呼ばれる通路を入って家屋に至る土地は安いです。
そのため、コストダウンのためには土地の形状が整っていないもの選ぶべきでしょう。
ただ、あまりにも形の悪すぎる土地は家屋の形状にも影響し得ます。例えば、細い三角形の土地などは家屋も三角形に近い形状とならざるを得ない場合があるのです。
その場合は室内にデッドスペースが多くなるなど、別な弊害が発生するかも知れません。また、家屋の形も悪くなるため、建物費用も高くなり得ます。土地の形状も家屋の価格と併せて考えることが大切です。
費用を削るポイント②:家屋関連
家屋にもコストダウンが可能は要素が多くあります。
しかし、家屋のコストダウン要素は建築に詳しい人でないとなかなか分からないのが現実でしょう。
では、どのようにすればコストダウンが可能なのでしょうか。
2階建てを選ぶ
家屋のコストを下げるためには2階建てを選ぶべきです。
平屋にすると建物が広くなりがちで土地も余計に必要になります。また、平屋は大きな基礎を作らなければいけないので、その分コストが上ってしまいます。
その一方で都市部に見られる3階建ても考えものです。3階建ては耐震性のチェックのために構造計算が必須になるからです。構造計算も費用は発生するので、コストダウンには繋がりません。
また、3階建ては家屋の性能を維持するため、強度の高い部材が必要です。そして、その分だけコストが上ってしまいます。
平屋にしても3階建てにしてもコストアップ要因は出て来ます。2階建てがベターなのです。
家屋の形状をシンプルに
家屋の形状をシンプルにすることもコストダウンに繋がります。
家屋は形状が複雑になるとコストが上がる場合が多いからです。
例えば、100㎡の正方形の家の外周は約40m。その一方で、同じ100㎡で8m×12.5mの長方形の場合は外周が41mです。
そして、この外周は住宅の外壁の量となります。つまり、前者は40m分の外壁、後者は41mの外壁となり、その分だけコストが上がるのです。
ちなみに、家屋にはL字型のものや台形のものなどがあります。これらの家屋は内部の構造部分が複雑だったり、部材そのものに特殊な加工をしたりしている場合が少なくありません。そのため、コストは上がる場合が多いです。
間取りをシンプルにする
間取りをシンプルにすることもコストダウンに繋がります。
間取りをシンプルにすると間仕切り壁が減る場合もあり、それがコストダウン要因になるからです。
例えば、広い20畳のスペースがある場合、20畳そのままでLDKなどにすれば間仕切り壁は必要ありません。
その一方で、20畳を8畳1部屋と6畳2部屋の3部屋に分ける場合には、各部屋を仕切る壁が必要です。そして、間仕切り壁があれば、壁を作るだけのコストが発生します。この間仕切り壁の部分がコストアップ要因になるのです。
また、部屋の形状を複雑にすれば、それだけ部材も発生してコストが上がることでしょう。
ただし、広いスペースを作る場合には、それだけ頑丈な構造を作らなければいけません。その場合には構造に掛かる費用が膨れ上がる可能性もあるので注意が必要となるでしょう。
最新鋭の設備は避ける
住宅設備は日進月歩の進化を遂げていて、毎年のように新しい機能を追加しています。
これは、住宅設備に多くのテクノロジーが応用されているからです。
例えば、昨今のコロナ騒動を機にタッチレス水栓が普及しました。これにより、今は水廻り設備をより衛生的に使えます。また、最近のトイレは汚れが付着しにくいタイプも登場しています。
さて、コストダウンを考えるならば、最新鋭の設備は避けた方が無難です。新しい機能を搭載する設備は多くの場合が高額だからです。
ただ、新しい設備であってもコストダウンに特化した製品が登場する場合もあります。その場合には新しい設備を入れた方がベターなケースもありますので、価格の比較はしておきましょう。
設備のグレードを落とす
住宅設備には高級・中級・普及の3つのグレードがあります。
高級グレードの設備は高性能で、しかも使っている素材も高級素材が多いです。その一方で普及グレードは機能や素材を絞ってコストダウンに特化させています。
例えば、キッチンは高級グレードになると人造大理石のような素材を使っていますが、普及品はステンレス製が多くなります。
さて、住宅のコストダウンのためには設備の費用を抑えることが必要です。そのためには設備のグレードを落として、普及グレードを選ぶべきでしょう。
ただ、全部の設備のグレードを落とす必要まではありません。予算と相談しなければ行けませんが、設備に優先順位を付けて検討することもオススメです。
水廻りをまとめる
浴室・キッチン・トイレなどの水廻り設備は離れて設置するよりも、まとめて設置する方がコストダウンに繋がります。
これは配管の都合からです。水廻り設備を離れた位置に配置させると、それだけ長い配管が必要となり、工事費が掛かるのです。
その点、水廻り設備をまとめるならば、配管がシンプルになるのでコストダウンが見込めます。そのため、水廻りは1階にまとめて配置するのがオススメです。
ただ、敷地の関係で、どうしても1階は浴室で2階はキッチンという具合にしなければならないケースもあるでしょう。その時は、浴室の上にキッチンを配置すれば、配管がシンプルになるのでコストが抑制されます。
洋室のみにする
洋室のみにするのもコストダウンには効果があります。
これは、和室に使われるアイテムが高価な傾向があるためです。畳や襖は一般的なものであっても、それなりの価格はします。
ただし、マイホームに「和のテイスト」があれば、住空間がグッと面白くなるのも確かです。
その場合には、ユニット畳を設けるのも1案です。コストをそれほどかけずに和のテイストを盛り込めます。
ユニット畳にコタツを設置すれば、洋室と違ったくつろぎのコーナーとなるでしょう。
内装のグレードを下げる
内装材のグレードを下げることもコストダウンのポイントです。
例えば、床材であれば天然木の無垢フローリングと樹脂のシート材を使ったクッションフロアがあります。
価格は種類によっても異なりますが、平均的には天然木のフローリングが高価で、クッションフロアは安価です。そのため、コストダウンのためにはクッションフロアを選ぶべきです。
また、壁は珪藻土や漆喰を使った塗り壁と壁紙を使ったものがあります。高価なのが塗り壁で、安価なのは壁紙です。そのため、壁のコストダウンのためには壁紙を選んだ方がベターです。
ただ、安価ではあってもグレードの高いものには無いメリットを持つ場合があります。安価だからと言って完全に劣る訳ではありません。
エアコンなどは自分で手配
注文住宅にはエアコンなどを設置してくれるオプション工事がありますが、業者が選ぶエアコンが安いとは限りません。家電量販店で販売しているエアコンの方が安い場合があります。
そのため、エアコンなどは自分で手配した方がコストダウンには有利です。
ほかにも価格が高くなっているオプション工事がありますが、自分で手配した方が安くなるアイテムがあります。それらも自分で購入した方が安くなりますので、自分で探すべきでしょう。
ただ、そのためには家電などのアイテムの価格を知っておかなければいけません。普段から価格をチェックしておくべきです。
費用を削るポイント3:資金面
注文住宅のコストダウンは土地と家屋の価格のみと思いがちですが、それだけではありません。
毎月のローンの返済を考えるならば、資金的な部分も大きな要因となるからです。
そこで、ここでは資金的な側面でのコストダウンのポイントを取り上げます。
ギリギリの予算としない
基本的には予算には余裕が欲しいです。
また、直接的なコストダウンの手段には見えないのですが、ギリギリの予算ではない方がコストダウンに結び付くケースがあります。
と言うのも、予算はローンの返済に関係するためです。
資金に余裕が無いとフルローンやオーバーローンを組みがちでしょう。しかし、トータルでの返済額を考えるならば、フルローンやオーバーローンを使わない方が安くなるケースがあり、有利なのです。
これは、借入額がフルローンやオーバーローンの方が多くなるため。ローンの金利は借入額に対して発生するので、借入額が多い方が余計に発生するのです。
つまり、借入額の多いフルローンやオーバーローンの方が高くなるのです。
住宅ローンを研究する
住宅ローンの研究も非常に大切です。
と言うのも、返済額が金利をはじめとしたローンの条件よって異なるためです。
例えば、ある金融機関を利用すれば一定の期間は固定金利なので返済額が変わらないメリットがあります。しかし、変動金利を使った方が安くなる場合が意外とあるものです。
また、繰上返済などもローン返済額を減らせる点で有効です。繰上返済は元金の返済に充てられます。元金が減るならば、それだけ利子が減り、返済額が減るのです。
この他にも住宅ローン控除についても研究しておくべきでしょう。
このように住宅ローンの条件によっては返済も変わります。ローンの研究は大切なのです。
ファイナンシャルプランナーの起用
フィナンシャルプランナーの起用もコストダウンには有効です。
フィナンシャルプランナーはお金のプロで、最も良い条件での返済を探し出してくれるからです。
例えば、毎月の返済額を考えるならば、どの住宅ローンにメリットがあるかを探してくれます。
また、税金についても詳しいです。税金についても計算に組み入れたプランを紹介してくれることでしょう。
更に、火災保険に関してもアドバイスを得ることが可能です。より良い保険を提案してくれます。
これらの知識は一般の人は持っていない場合が多いです。そのため、フィナンシャルプランナーを起用した方が有利なのです。
業者との連絡は密にする
前にも述べたように、業者との打ち合わせ不足が予算オーバーの原因の1つでした。
そのため、コストダウンを目指すならば、業者との連絡は密にすべきです。
業者との連絡を密にするならば、それだけ有益な情報が得られます。また、コミュニケーションも多くなるので、話の行き違いも減ります。
例えば、余計なオプション工事を発注するなどのミスは避けやすいです。
ただし、これは業者の営業マンによっても変わります。業者と打ち合わせをする時には、渡されるプランニングだけでなく、営業マンの人間性も併せて見るべきでしょう。
費用を削るポイント:その他
コストダウンのポイントは他にもあります。
ここでは、その他のポイントについて紹介しましょう。
セミオーダー住宅も視野に入れる
コストダウンのためにはセミオーダー住宅も視野に入れるべきでしょう。
セミオーダー住宅は、住宅会社が持っている規格の設備から、自分好みのものを選んで組み合わせる住宅。注文住宅ほどではありませんが、自分のイメージに近い家を造ることが可能です。
さて、セミオーダー住宅の魅力はコストパフォーマンスです。住宅会社の規格する設備は、設備メーカーに大量発注をしているのでコストが抑えられます。
ところで、自分好みの家にしたい人でも、どのように選べば良いかが分からない人も多いのではないでしょうか。
セミオーダー住宅は、そのような人にオススメです。資材のバリエーションが決まっているので、選びやすいです。
オープン外構にする
外構部分をオープン外構にするとコストが抑えられます。
オープン外構は庭を敢えて見せる外構の形態で、ブロック塀などはあまり使わず、シースルーのフェンスなどで敷地を囲います。ブロック塀などの外構アイテムの費用が押さえられる点が魅力です。
さて、オープン外構は防犯性が高いメリットがあります。これは敷地外から庭が見えやすいためです。敷地をブロック塀などで完全に囲ってしまうと、侵入者の行動が外から見えません。そのため、侵入者は活動がしやすいです。
その点、オープン外構であれば、敷地の外から見えるため侵入者も活動しにくくなり、侵入を諦めるようになります。
太陽光発電は避ける
太陽光発電は省エネ性が高い設備なので、将来的な光熱費削減に有用です。
しかし、設備は高額なので初期費用が掛かってしまいます。
そのため、住宅購入の際にオプションとして設置すると、それだけコストが跳ね上がります。住宅取得コストの削減には望ましくありません。太陽光発電は避けた方がコストは下がるため、オススメです。
ただし、太陽光発電の光熱費削減の効果は大きいのも確かです。また、自治体よっては補助金の制度もあります。後からでも設置は可能なので、将来にまわしてはいかがでしょうか。
駐車スペースのコストダウン
駐車スペースもコストダウンの余地はあります。
例えば、カーポートには高級なタイプとコストパフォーマンスを重視した普及タイプがありますが、普及タイプを使えばコストは下がります。不便にはなりますが、カーポートを敢えて設置しないことも検討に入れるべきでしょう。
また、駐車場のコンクリート舗装をやめて砂利敷きにするのも1案です。コンクリート舗装などと違い、施工費用のコストダウンが狙えます。砂利にも高級なものがありますが、安い砂利を使えば安く上がるでしょう。
他にも駐車場のゲート部分を安価なタイプにすれば、それだけ費用も削れます。
ハウスメーカー選びは慎重に
ハウスメーカーはそれぞれに「強み」を持っています。あるメーカーは鉄骨系に特化していたり、またあるメーカーは木造の在来工法に特化していたりと、実にさまざまです。
この違いはコストを考える点で重要です。坪単価まで違うからです。
また、同じ構造の住宅であっても会社によって差があります。ある会社は高級志向の住宅が得意である一方、またある会社はコストパフォーマンスに特化した家が得意、ということもあるのです。
そのため、ハウスメーカー選びは慎重でなければいけません。特に、コストダウンを狙うのであれば会社の得意分野が顕著に出るので、十分に検討するべきでしょう。
こだわる部分の優先順位をつける
全部にこだわることは望ましいのですが、費用の削減を考えるならば、こだわりに優先順位を付けるべきでしょう。
例えば、キッチンを1位、浴室を2位、玄関を3位、という具合です。そうすれば、よりハッキリと予算と仕様が定まって来ます。
ちなみに、部屋のデザインを考える場合には全部のグレードを上げるのではなく、アクセント的に豪華なポイントを付けるのもオススメです。上手に付ければ室内に変化が生まれ、面白い空間となります。
削るべきではない点
ところで、いくらコストパフォーマンスの重要性が分かったとしても全部を削るべきではありません。
やはり残すべきところはあります。以下の点は削らずに残すべきでしょう。
- 耐震性
- 防犯性
- 断熱性
- バリアフリー性
それぞれについて解説します。
耐震性
住宅は建築法規によって造られるため、耐震性は確保されています。実際、今の住宅は木造であれば2000年耐震基準で建てられていて、頑丈です。
しかし、ハウスメーカーによっては独自の技術により、より確かな耐震性を持たせているケースもあります。
例えば、ビル建築などに見られる制振構造です。
これは室内に伝わる地震の振動を抑える働きがあり、室内の家財の破壊や倒壊を抑制する技術です。
そして、このような耐震性能はいくらコストダウンのためとは言え、削るべきではありません。家はより安全であるべきです。安全性確保のため耐震性は削らずにいましょう。
防犯性
住宅は安全性の確保が必要不可欠です。安全性が二の次にされるならば、安心して住むこともできないからです。
そのためにも防犯性を削ってはいけません。
特に、今ではどのような人物が浸入犯罪を狙っているかが分からないので、住宅の防犯性はより重要です。
例えば、インターホンにはカメラ付きと音声だけのタイプがありますが、カメラ付きは威嚇効果があります。防犯のためにもカメラ付きを選ぶべきです。
防犯性の高い建材はコストが高めに設定されているケースが多いのですが、安全性を優先させましょう。
断熱性
住宅の断熱性も削るべきではないでしょう。
と言うのも、住宅の断熱性は単なる光熱費削減のためだけではないからです。
例えば住宅の断熱性確保はヒートショックのリスクを抑えるなどの効果があります。
ヒートショックは最悪の場合には死に至る健康被害ですが、大きな原因が急激な温度変化です。
さて、断熱性が確保されていない住宅では、部屋によって気温に差が発生します。
しかし、断熱性の確保されている住宅では家屋の内部の気温が均一化されているので、ヒートショックのリスクは抑えられます。つまり、安全性が高いのです。
バリアフリー性
バリアフリー性も非常に大切です。削るべきではありません。
と言うのも、住宅は長く使うもので、自分が老化した時にも使う可能性が高いからです。
例えば、何らかのアクシデントで車いすを使うことになった場合、住宅が車いすに対応しにくい仕様では困ることになります。車いすにも対応できるように、スロープを付けたりするべきでしょう。
また、フロア部分をすべりにくくすることも重要です。転倒リスクを抑えてくれます。
ちなみに、バリアフリー対応の家を造るためには自分もバリアフリーについて知っておくべきです。情報の収集をしいておきましょう。
注文住宅の解約はできるのか
ここまで注文住宅のコストダウンについて述べました。
しかし、疑問も残ります。…注文住宅は解約が可能なのでしょうか。
結論を言うならば可能なのですが、それについても知っておくべきです。
そこで、ここでは次の3点について解説します。
- 基本的には解約が可能
- 違約金が発生する
- クーリングオフについて
それぞれ、見て行きましょう。
基本的には解約は可能
注文住宅は独自の仕様の家ということもあり、キャンセルが難しいように思えますが、実は工事が始まったとしても解約が可能です。ただ、違約金が発生する点は覚悟すべきでしょう。
また、状況によってはトラブルにもなりやすい話なので、契約を結ぶ段階で違約金に関しても取り決めておくほうがベターです。仮に、細かい部分まで決めておかない場合には、後で細かい部分で争う可能性も出てくるからです。
いずれにしても、住宅の取引は非常に大きな金額が動きます。「解約はいつでも可能だから」と思うのではなく、詳細まで念入りに確認しておくことが大切です。
違約金について
注文住宅は土地探しから施工会社選び、設計、仮契約、本契約、着工…と、多くの段階を踏んで出来上がります。
さて、注文住宅の違約金ですが、工程が進めば進むほど高額になるケースが多いです。
例えば、仮契約の前の段階で解約を申し込むのであれば、申込み金を支払う程度で済むでしょう。
しかし、本契約を取り交わし、着工したならば、違約金はそれだけ大きく膨らんで行きます。
例えば、工事の直前であれば、工事会社は必要な資材を仕入れているのが一般的です。そして、そこにも仕入れるための費用は発生しています。その部分の費用は施主の負担です。
また、工事会社が下請けに仕事を発注している場合は、その部分の損害金も負担する場合もあるでしょう。
あくまでも違約金はケースバイケースです。施工会社との話し合いによって決まります。
クーリングオフについて
結論から言えば、注文住宅であってもクーリングオフは可能です。
例えば、意図しない状況での契約を結んでしまったとしても、8日以内であれば書面の送付によって契約の解除は可能です。ただ、書面送付が8日以内であることの証明が必要です。
その一方で、クーリングオフができない場合もあります。
例えば、工務店の営業所などで契約を交わした場合には適用外になります。
いずれにしても、クーリングオフは微妙な問題でもありますので、事前に確認するべきでしょう。
まとめ
注文住宅の予算オーバーについて、その原因と対策を取り上げました。
不動産の購入は建築の話も大きく関係することから、コストダウンは理解しにくい内容もあったと思います。
しかし、理解が及ばないからと言って、問題を放置すると損失は更に大きくなります。
賢く予算について計画を立てれば、予算内に納められるかも知れません。
それには勉強が必要です。しっかりと勉強をして、良い住宅をより安く購入しましょう。